2022/09/09
まずコロナのワクチンとの関係です。コロナワクチンとインフルエンザワクチンとの同時接種については問題ないという見解が示されています。ただ、当クリニックでは今のところ接種後の報告の事務的な煩雑さなどを勘案するとコロナワクチンを接種する余裕はありません。インフルエンザワクチン単独の接種となりますのでご了承ください。コロナワクチンとの接種間隔は2週間とされています。
ワクチンの供給量はコロナ感染症との同時流行を懸念して例年よりかなり多くなっているようですが、接種する側としてもやはりコロナ感染症への対応=発熱外来を運用することを考えるとおいそれと接種者数を増やせるものではありません。いずれにせよ早めの予約をお願いしたいと思います。
9月12日から接種の予約を開始します。ただ、舞鶴でも現在子供さんの間でコロナ感染症が蔓延しておりそれに関する診療予約の電話が殺到するため大変つながりにくくなっています。特に午前中と夕方の診療時間帯はインフルエンザワクチン接種の予約の電話は受けにくくなっています。できるだけそれ以外の時間帯(できれば12:00~14:00か16:00~17:00の休憩時間帯に)でお願いします。
実際の接種開始は10月3日(月)からの予定です。
★2022~23年のインフルエンザワクチン
A型株;ビクトリア(H1N1)とダーウィン(H3N2)
B型株;プーケット(山形)とオーストリア(ビクトリア)
★接種させていただく方
今年はコロナへの対応もあり、新しく引っ越してこられた方などかかりつけがなくて困っておられる方には対応しますが、基本的には当クリニックにカルテのある方に接種ということとしたいと考えています。
またワクチンが無尽蔵に供給されるわけではありませんので、ご高齢の方は原則としてお断りさせていただいています。
料金は昨年と同様
2回接種の場合:前払いで5,500円(税込み)
1回接種の場合:3,000円(税込み)
とさせて頂きます。
何歳まで2回接種とするかについてはWHOの統一見解があってそこでは「9歳以上の小児及び健康成人に対しては一回注射が適切である」としておりそれは厚労省からの通達でもWHOの見解として同じ言葉で述べられています。それについて厚労省は何も評価・もしくは見解を述べていないのですが通達にその文言があるということは厚労省もそれを暗黙の了解としていると考えています。ただしこの2年間インフルエンザは全く流行しませんでしたので、インフルエンザウイルスに対するいわゆる免疫力は大幅に低下していると考えられています。9~13歳の方で2年以上ワクチン接種をされていない方には2回接種をお勧めします。
また妊娠後期のインフルエンザワクチンの接種は生後早期のインフルエンザ罹患に対する予防効果があるという報告が権威ある小児科の雑誌にあります。妊娠後期であるということ自体が免疫の低下や呼吸面積の減少という点でインフルエンザ重症化のリスクファクターであるとされていますので該当する方にはワクチンを接種されることを勧めます。
【インフルエンザワクチン接種対象者】
1) インフルエンザ感染により重大な合併症を起こす可能性のあるハイリスクグループ
● 6か月から23か月までの乳幼児
● 65歳以上の方養護ホーム、長期療養施設入所者
● インフルエンザシーズンに妊娠している女性
● 肺・心血管系の慢性疾患を有する成人・小児、気管支ぜんそくの小児
● 糖尿病を含む慢性代謝性疾患、腎不全、免疫抑制状態にある方
● 長期アスピリン治療を受けている生後6か月から18歳の方
2) ハイリスクグループにインフルエンザをうつす可能性のあるグループ
● 病院関係者
● 養護ホーム、長期療養施設勤務者、乳児を預かる施設勤務者
● 訪問看護等でハイリスクグループの方にケアサーヴィスをする方小児を含むハイリスクグループの家族
3) その他
● 乳児:どの月齢からでも可能ですが諸般の事情から当クリニックでは生後6か月からとさせて頂いています。特に一歳未満でも保育所などに行っている子供さんには接種しておくことを勧めます。
● 妊婦:妊娠中どの時期でも接種は可能です。特に予定日が流行期に含まれる妊婦の方は接種が望ましいと考えられます。ただ流産のリスクのある妊娠3か月未満では接種を勧めないという考え方もありますので、産科の先生にまずはご相談ください。
● 寮などで団体生活をしている方
【インフルエンザ予防接種でよくある質問】
1) 咳や鼻が出ていますし、37.3度の微熱がありますが・・・
症状が軽い場合は特に問題ありません。37.5度以下なら可能です。ちなみにアメリカでは熱があっても接種することもあります。
2) 風邪が治って2週間ですが・・・
可能です。日本では麻疹は治癒後4週間、水痘・風疹は2週間後から、そのほかは1週間後から可能とされています。これについては医学的な根拠があるかといわれると問題がないとも言えませんが、万が一の副反応に対する補償のことを考えると守っておくほうがよいでしょう。なお、アメリカではこのような規則はありません。
3) 水痘の子と接触して潜伏期間中のようですが接種できますか
潜伏期間かどうかはその時点ではわかりませんし、不活化ワクチンについては何ら問題はありません。生ワクチンの場合は感染可能のウイルスとバッティングすることで免疫ができにくい場合もあるかもしれませんので状況によっては延期することもあります。
4) 熱性けいれんを起こしてから一か月ですが可能でしょうか
通常けいれん後2~3か月後から接種は可能です。単純性の熱性けいれんであれば小児科の専門医が可能と考えれば2週間から接種可能というのが小児科医のコンセンサスです。インフルエンザはけいれんや脳炎・脳症になることがある病気です。そのほうがずっとリスクは高いと考えられます。
5) 抗生剤を耳鼻科からもらっていますが接種できますか
病気の状態が活動性(発熱、痛みが強い、きこえにくいなど)でなければ問題ありません。インフルエンザは季節性のものですので接種時期を失しては何にもなりません。
6) 卵アレルギーといわれていますが
一部の強い反応の既往がある方を除いて、通常麻疹・風疹ワクチンが普通にできておれば問題ありません。心配な方には最初に少量注射して大丈夫なことを確かめて、その後残量を注射するという方法もあります。
【インフルエンザにおける異常行動について】
インフルエンザの経過中に異常行動を起こす子供さんのことがときどき報道されています。この異常行動が実はインフルエンザの治療薬タミフルの副反応ではないかという考えがあります。はっきりした原因は現在のところ不明ですが、昨年からはタミフルのジェネリックが発売されよりわかりにくくなったのは事実です。異常行動を防止するという意味でもちゃんと予防接種を受けるようにしてください。