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発達障害
発達障害
発達障害とは、子どもが発達していく過程(出生前または幼児期、学童期)において問題が生じてくることを指します。これは精神的な症状ではなく、脳の重要な機能である認知(理解して行動する過程)に問題(偏り)があり、生活・学習の点で困難をきたしている状態と考えるのが最もわかりやすいと思われます。
認知機能に障害が起きる原因としては大きく分けて、もって生まれた遺伝的な素因といじめ、虐待など人間関係で生じるストレスの影響の二つと考えられています。
日本では子どもの6.5%に発達障害があり、そのうち医学的に障害や疾患とみなされるのは2~3%です。
発達障害には3つのグループがあります。
★ADHD(注意欠如・多動性障害)
★LD(学習障害)
★ASD(自閉症スペクトラム障害)・・・自閉症、アスペルガー障害など→これらはそれぞれ医学的な診断基準があります。また3つのグループはその概念が生まれた源が異なるため重なり合う部分も多く、またどう診断するかも医療機関によって異なることがあります。
具体的には・・・
- コミュニケーションがうまく取れない
- 自分のことしか考えていない(ように見える)
- 我慢やがんばることができない(ように見える、またはそういうことを理解できない)
- 自分を客観的に見ることができない
- 今しか考えていない
- 男の子は人を攻撃することが多く、女の子は自分を責める傾向(自傷、摂食障害)がある
つまり・・・
発達障害はいわゆる病気ではない。
教育的・社会的な対応は必要だが、医学的な面からのサポートを超えた対処が必要な子どもはその一部である。
診断は医学的なサポートが必要だからつけるのであって、隔離であるとか障害児という観点からつけるのではない。
発達障害かどうか判断する基準は生活に支障があるかどうかである。
定期的なかかわりは重症化する芽を早期に見いだすことができる。
成長を見守ってくれる人、子どもが相談する気持ちになれる人がキーパースンである。
ADHD
ADHDの子どもの特徴は
- 不注意・・・集中力がない、忘れ物が多い、簡単なミスが多い、特定のことに注意を止めておくことが困難で、課題に取り組んでもすぐに飽きてしまう
- 他動性・・・授業中に座っていられない、整理整頓ができない、貧乏ゆすり
- 衝動性・・・思いつくとすぐに行動する、外からの刺激に対して無条件に反応してしまう、刺激に反応して急にスイッチが入ったように走り回ったりする
- 他の障害を併せ持つ・・・学習障害は6割、不安障害、気分障害は2~7割
- こだわりを持っている・・・ADHDの子どもは集中できないというイメージが強いのですが、自分の興味があることについては驚くほど集中することがあります。逆から言うと、頭の中がそれでいっぱいであるためにほかのことが見えないというふうに言うこともできます。
ASD
ASDの特徴は
- コミュニケーション力の障害・・・
- 言葉の遅れ
- 比喩であるとか何通りかの意味を持つ言葉の理解が困難
- 早口の絶え間ないおしゃべり:相手の気持ちなどに無頓着なため会話が成立しにくい
- 空気が読めない:雰囲気で当然わかると思うことに理解が及ばない
- 想像力の障害・・・
- 相手の立場になって考えられない
- 変化を嫌う、または対応できない
- 人の視線がわからない
- 社会性の障害・・・
- コミュニケーションの障害と想像力が足りないことが主な原因で他人と関係をつくることができない
- そのほか、感覚が過敏またはきわめて鈍感
★子どもに有効な行動マネジメント
- 基本的には自己評価が生活上常に低く保たれることが多いので、それをいかに高めるかが重要。自分ではそういった状況を作り出しにくいので、そうなるように周囲が仕向けることがスキルである。
- 「注目」や「正の強化」を受けた行動は、反復される可能性が高い。
- 肯定的なフィードバック(ほめる、褒美、特権の付与)は行動を変える可能性がある。
- 否定的なフィードバック(しかる、罰、特権を奪う)は行動をやめるだけだという限界がある。
- 子どもは明確な期待やルール、限界のある環境の中で、もっともよい反応をする。一貫性がある、予測可能なしっかりした枠組みが重要。
- 実現可能な選択肢を頻繁に与えるようにすることで子ども同士の争いを予防する。すなわち同じ方向を向かせることが重要である。
- 行動マネジメントの効果は先手を打つか後手に回るかが決定的な要素である。
- 行動の変化は段階的であって、目標行動に近づいているかが重要。一段階近づくごとに正の強化と評価をする。完全にできたかどうかではなく正しい方向に進んだことを評価する。
→よくがんばりました。 - よく管理された学習効果には子どもがそれぞれ成功を体験し安心できる場が必要である教室運営の成功の秘訣は、面白くやる気を引き出す、魅力的なカリキュラム。
→言うはやすく行うは難し:こんな難しいことは無い。
★行動マネジメントでしてはいけないこと
- 基本的には自己評価が生活上常に低く保たれることが多いので、それをいかに高めるかが重要。自分ではそういった状況を作り出しにくいので、そうなるように周囲が仕向けることがスキルである。
- 年下の子どもと付き合うのをとめないほうが良い。
- 大きなグループに参加する意欲や能力が無いなら無理して参加させない。
- 特に望まないならば、競争の激しい場におかない。勝ち負けではなくスキルや作戦の上達を重視する。
- 子どもから質問がでないからといって、口頭の指示や命令を理解したと思わないこと。
→行動を始める前に、本人に指示を繰り返させるのも方法。 - 社会生活で困難があったことを話してくれたときは?ったりとがめないで、打ち明けてくれたことを喜びどうすればよかったのかを話し合うようにする。
- 子どもが強いストレスを感じているときはいろいろ教え込むのは無理。リラックスするようにだけする。
- ほめることだけが正の強化ではない。単に関心を示すことも効果的である。
- ストレス発散の手段として意味の無い身体行動、例えば握り棒だとかたたくための枕などはやっても良いが奨励することは無い。
→むしろ限定的で明確な行動、例えばサッカーのゴールに10回シュートする。
→おばあちゃんに手紙を書く。 - 罰や否定的なフィードバックは、有意義で持続的な効果を発揮しない。